ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
「アンタみたいなゲビた女は好みじゃねーんだ。

引け」


「え、え……?

ミナキ……何言ってるの?」


先輩は突然豹変した俺に戸惑っている。


普段なら可愛いと思うはずのそんな姿さえ、今はわずらわしい。


「聞こえなかった?」


俺は先輩の制服のリボンを乱暴に掴み上げた。


「目障りだから消えろ、つったんだよ」


なんかもう……先輩とか後輩とか関係ない。


さっさと消えて欲しい。


早く、アイツの涙を拭いたい……。


こんな女のために流した涙なんて、見たくもない……。


アイツを泣かせていいのは俺だけ。


アイツは俺のためだけに泣けばいい。


あー……この女、ほんと目障りだ……。


早く消え失せろ……。


「……ヒドい!

ミナキがそんなこと言う男だなんて思わなかった!

あの子のことなんかかばっちゃって!

アタシよりあの子なの!?

あんな地味な子のどこがいいわけ!?

信じらんない!」


先輩は俺に向かって息継ぎ無しに吠えると、「もういい!」と言って駆け出した。


先輩が付けていた香水の残り香が、ツンと鼻を突いた。


 
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