ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
複雑そうな顔をしている花梨から思わず顔を背けた。


だってあんまり悲しげな目で俺を見るから……。


なんだか胸の奥にトゲが刺さったような、小さい痛みが走った。


花梨、何が言いたい?


今、何を考えてる?


どうしてそんな顔してる?


言ってくれなきゃ、俺には分からない。


「ていうか、これ」


思い出したかのように俺は口を開いた。


この微妙に居心地の悪い空気を変えたかっただけ。


「あ、それ私のお昼ごはんっ!

返してー」


そんな俺の突然な切り替えにも、コロッと乗ってきてくれて安心する。


「お昼ごはんって……お前パン持ってるじゃん」


俺の手に握られた焼きそばパンを必死に取り返そうとするコイツの腕には、3つの焼きそばパンがしっかり抱えられている。


「うん、これもお昼ごはん!」


「誰の」


「え?

私が持ってるんだから私のお昼ごはんでしょ?」


「いや、違くて。

4つも焼きそばパンなんてどうするんだよ」


「へ!?

食べるんだよ?

4つとも私のお昼ごはん」

 
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