ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
なんだ……?
分からない。
花梨のこの表情の意味が、よく分からない……。
その時、カツンと指先に何かが当たった。
視線を落とす。
俺の横に転がっていたのは、ピンク色の携帯。
そういえば花梨から奪ったままだったな。
俺は携帯を拾い上げる。
「……?」
思わず手の動きを止めた。
携帯の裏に貼ってあったプリクラが目に留まる。
今より長い髪をツインテールにして、相変わらず無邪気な笑顔でこちらを見ている花梨。
このあどけない感じからして、多分、中学生の頃のプリクラだと思われる。
“ケンゴ、ずっと大好き”
女子特有の丸い文字で書かれた落書き。
「あっ……!?
ミナキくんっ、だめ!
返して!」
花梨が慌てた様子で、素早く俺の手から携帯を奪い返した。
「あの、本当にだめなの……ごめんね」
花梨は携帯を胸に握り締めて、申し訳なさそうに俺を見上げた。