ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
やっぱり、違う……。
私の涙を唇で拭い取ると、ミナキくんは涼しい顔で私を見つめた。
ズクン、と胸が痛む。
そのツンとすました表情から、嫌でも分かるんだ。
ミナキくんは本当に女慣れしてるんだってことが。
今まで何人の女の子に、今みたいなことしてきたんだろう?
一体何人の女の子の涙を味わってきたんだろう。
その度に、色んな女の子を比べて楽しんでるのかな……?
この人は……。
やっぱり、橋本くんとは全然違う……。
───……「わ、やべ。
ちょっとこっち見んな!
今、顔やべーから!」
はにかむ橋本くんの笑顔が脳裏に蘇る。
橋本くんは、キスどころか、手を繋ぐだけで顔が真っ赤になってた。
キスだって、唇と唇が軽く触れるくらいのキスしかしたことがなかった。
でも、橋本くんはいっつも耳まで真っ赤にして恥ずかしがってたの。
───……「ひゃはっ、俺たちタコみてーだな!」
お互い何もかも初めてで、いっぱいドキドキした。
2人でドキドキするのが、すごく……幸せだった。