ラヴシンドローム~意地悪なkiss~
 
ミナキくんに謝った。


偶然にせよ、覗いちゃったことに変わりはないし……。


私が謝ると、ミナキくんは顔色1つ変えずに頷いた。


そして、ミナキくんの口から出た言葉は……。


「いいよ別に。

気にしてないから」


体の熱が一気に冷めた。


気にしてない……。


私に見られたこと、気にしてないんだあ……。


それまで踊っていた胸が、突然ズキンと痛んだ。


……少し、焦って欲しかったのかもしれない。


「やべ、花梨に見られた!」って……。


でも、ミナキくんの様子はいつもと変わらない。


分かってたけど……。


私がミナキくんにとって特別な存在じゃないってこと。


だから、当然だよね……。


私に見られたって、何とも思うわけないよね……。


分かってたのに……。


ミナキくんにはたくさん彼女がいるって……。


分かってたのに……。


何でこんなにモヤモヤした気持ちになるの……?


 
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