Bloody Kiss
紅い眼が揺らぎ、一歩ずつ距離を詰めてくる。
何とかしようと震える指で引き金を引く。しかし、弾はソレの肩に掠っただけで致命傷を与えることはできない。

あまりの恐怖に足の力が抜けて地面にへたり込んでしまう。

誰か、助けて。

「……恢」

辛うじて恢を呼ぶが、眼前に迫り来る恐怖で思わず目を瞑る。

バンッ！

「グアァッ！」

銃声の後に続く、グシャッという肉体が千切れるような音とあのヒトではないモノの断末魔。

「怪我はないかな、お嬢さん」

アレの声とも恢の声とも違う、若い男の声が聞こえた。
ゆっくり目を開けてみると、金髪碧眼の男が優しい微笑を浮かべて、私に手を差し伸べている。
その向こうにはアレが倒れている。どうやら彼がアレを倒してくれたようだ。

「……助けてくれてありがとう」

素直にお礼を述べ、彼の手を取る。
彼は腕を引き、私が立つのを手伝ってくれた。

「君は……同業者かな？」

彼は私の手の中にある銃を見て問いかけてきた。
そう言われ反射的に彼の武器を見る。彼の右手には特殊な銃が握られていた。

「えぇ、そうみたい」

同業者というのは狩人のことだろう。



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