Bloody Kiss
恢の傍にいたい。
この腕の中にいたい。

だから私は知らなくちゃいけない。

「恢。……本当のことを教えて。バケモノのことも、吸血鬼のことも。隠さないで」

恢の顔を見上げると、今までに見たことがないほど驚いた表情をしていた。

「昨日の狩人にバケモノのことを聞いた……。元人間の吸血鬼はバケモノに堕ちる運命だって。恢もいつかはバケモノになってしまうの?……私は恢を守りたい。だから、教えて」

「…………」

私の思いは全部伝えた。
でも恢は何も答えてくれない。

「あっ……」

私を抱き締めていた腕が緩み、静かに離れていった。

これが、恢の答え……。

私には何も教えてくれない。
恢の隣に立つ資格はない。

結局、恢にとって私はエサでしかないんだ……。

自惚れてた。
一緒に旅をして、一緒に戦って、少しは情が湧いてるんじゃないかって。

でも、私の勘違いだったんだ。

私は所詮エサだ。
あの吸血鬼を誘き出すためだけに側に置いているだけ。
それだけの価値しかない。
それだけしか望んでない。

最初から、わかってたはずじゃない。


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