Bloody Kiss

†追憶

街を出てから三日。
私達は世界鉄道に揺られながら恢の屋敷がある街を目指していた。

世界鉄道。
その名の通り世界中を繋ぐ交通機関で、人々の生活に欠かすことのできない重要な移動手段である。
ちなみに、世界を横断している本線とそこから枝分かれして街と街を繋いでいる支線で出来ていて、今は支線に乗り継いだところ。もう間もなく目的地周辺に着くはずだ。



この三日間で恢は少しずつ元人間の吸血鬼のことを教えてくれた。

例えば吸血衝動とそれを抑える錠剤。
血を失いすぎたときや強い血の匂いを嗅いだときなどに激しい渇きを感じ、血が吸いたくなるのだそうだ。これが吸血衝動。その場合理性で抑えることは不可能に近く、衝動の赴くまま人の生き血を啜り、死に至らしめるケースが殆どだという。その衝動を抑えるために開発されたのがドラッグと呼ばれる錠剤で、定期的に服用することでバケモノ化を遅らせる効果もあるらしい。ただし、服用し続けると効かなくなるためバケモノ化を完全に止めることはできない。

「詳しい話は屋敷に着いてから」とはぐらかされてしまったけど、恢はバケモノ化を阻止する方法について何か知っているようだった。

きっと恢の屋敷に答えがある。
恢を救う方法を絶対に見付け出す。

窓の外に広がる青空を見つめて、決意を新たにした。
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