Bloody Kiss
「んーーー!やっと着いたー!」
ホームに降り立ち大きく伸びをする。
もう日は傾きはじめていて、鮮やかな夕日が長い影を作っていた。
「行くぞ」
「あ、待って!」
先にいってしまった恢の背中を追って走り出した。
改札を抜けると見覚えのある風景が飛び込んできた。
帰ってきた……。
旅が始まった場所。
恢の屋敷がある街。
そして、私の故郷。
二年前の旅立ちの記憶が甦ってくる。
確か、屋敷からは車で来たはず。屋敷は駅からとても離れたところにあるから、これから徒歩で向かうと完全に日が暮れてしまうだろう。
「って、あれ?」
気が付くと恢の姿がどこにもなかった。
「どこいっちゃったの?」
慌てて外に飛び出す。
駅前は待ち合わせや迎え、見送りなどの人で賑わっている。
目を凝らして人混みを探すが、その中に恢の姿はない。
「アリア」
「ひゃっ!」
突然背後から声がして、驚いて奇声を上げてしまった。
「悪い、驚かせるつもりはなかった」
「だ、大丈夫」
そう言いながら一気に上がった心拍数を落ち着かせた。
「車の手配は済ませてある。早く行くぞ」
恢は私の横を通り過ぎる。そのまま人混みに紛れていくのかと思いきや突然止まって振り向いた。
「いつまでそこにいるつもりだ?」
あぁ、そうか。
今度は離れないようにわざわざ私のことを待ってくれたんだ。
そう思ったら頬が緩んでしまった。
それを悟られないように素早く恢の隣へ移動して、右腕に絡み付く。
もうちょっとくらい、いいよね。
いつかは『エリィ』の元に帰るとしても、今だけは貴方の一番傍に……。
ホームに降り立ち大きく伸びをする。
もう日は傾きはじめていて、鮮やかな夕日が長い影を作っていた。
「行くぞ」
「あ、待って!」
先にいってしまった恢の背中を追って走り出した。
改札を抜けると見覚えのある風景が飛び込んできた。
帰ってきた……。
旅が始まった場所。
恢の屋敷がある街。
そして、私の故郷。
二年前の旅立ちの記憶が甦ってくる。
確か、屋敷からは車で来たはず。屋敷は駅からとても離れたところにあるから、これから徒歩で向かうと完全に日が暮れてしまうだろう。
「って、あれ?」
気が付くと恢の姿がどこにもなかった。
「どこいっちゃったの?」
慌てて外に飛び出す。
駅前は待ち合わせや迎え、見送りなどの人で賑わっている。
目を凝らして人混みを探すが、その中に恢の姿はない。
「アリア」
「ひゃっ!」
突然背後から声がして、驚いて奇声を上げてしまった。
「悪い、驚かせるつもりはなかった」
「だ、大丈夫」
そう言いながら一気に上がった心拍数を落ち着かせた。
「車の手配は済ませてある。早く行くぞ」
恢は私の横を通り過ぎる。そのまま人混みに紛れていくのかと思いきや突然止まって振り向いた。
「いつまでそこにいるつもりだ?」
あぁ、そうか。
今度は離れないようにわざわざ私のことを待ってくれたんだ。
そう思ったら頬が緩んでしまった。
それを悟られないように素早く恢の隣へ移動して、右腕に絡み付く。
もうちょっとくらい、いいよね。
いつかは『エリィ』の元に帰るとしても、今だけは貴方の一番傍に……。