拝啓、ばあちゃん【短編】
二人の距離がだんだんと近くなり、立ち尽くす俺の姿を捉えたばあちゃんは、一瞬考えたように見えたが、ニッコリと笑って言った。


「こんにちは」


はっ、何だそれ?


久しぶりに会った俺に、何かおかしくないか?


そんな困惑する俺の横を、ばあちゃんは構わずゆっくりゆっくりと通り過ぎようとする。


「ばあちゃん!」


自分でもびっくりするくらいの大きな声で、俺は叫んでいた。


変わり果てたばあちゃんの姿。


俺に対する他人行儀な挨拶。


短い時間の中で、ただならぬ不安を感じた俺は、キョトンとするばあちゃんに駆け寄った。


「ばあちゃん、久しぶり」


不安を胸に、大袈裟なほど優しく話しかけた俺の努力も虚しく、ばあちゃんは軽く頭を下げてから、空を見上げて目をすぼめて言った。


「いい天気ですね」


それは一年前と同じ、麗らかな春の陽気の中で、確実に変わってしまった、ばあちゃんとの再開だった。


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