拝啓、ばあちゃん【短編】
俺の声に気付いたばあちゃんが、ゆっくりと振り返る。


俺はゴクリと唾を飲み込んだ。


「優ちゃん…」


目を真ん丸にして驚いた様子を見せたばあちゃんだったが、確かに俺の名前を呼んだ。


良かった。


ホッと胸を撫で下ろす俺に、ばあちゃんは相変わらず目を丸くして、話しかけてくる。


「久しぶりやね〜、元気にしとった?髪の毛の色が違うさかいに、誰や分からんかったわ」


俺は自分の頭に手をやって、以前の黒髪が金髪に染まっている事を思い出した。


だからばあちゃんは、俺に気付かなかったんだ。


苦笑いしながら頭を掻く俺を見ながら、ばあちゃんは「外人さんみたい」と笑った。


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