拝啓、ばあちゃん【短編】
そんな俺におばさんは言った。


「あのね、この先おばあちゃんがあなたの事がわからなくなっても、無理に思い出さそうとしたり、責めたりしたらあかんからね」


「なんで?」


「おばあちゃんが混乱するから。それでこの前は家を出てって大変やったんやから」


思わず深い溜息が洩れた。




その後、しばらくおばさんからばあちゃんの奇妙な行動の数々を聞いて、俺はその場を後にした。


おばさんから聞いたばあちゃんの話は、信じられないものばかりで。


新手の嘘で、俺をはめようとしてるのか、とさえ思ってしまった。


でも何にせよ、明日からはまたばあちゃんに会える。


そう思うと、やっぱり嬉しかった。


軽く口笛を吹きながら、友達の元へと向かう。


外は良い天気で、時折吹く強い風に、桜の花びらが舞い散っていた。


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