拝啓、ばあちゃん【短編】
あの頃、散々遊び回っていた俺だったが、ばあちゃんとの再開によって、また以前のように、ばあちゃんを訪れる日々が始まった。


あくる日に訪れた俺に、「あら優一、学校は終わったの?」と、ばあちゃんはにこやかに言った。


ばあちゃんの息子でもあり、俺の父親でもある人の名前を口にしながら。


今日は調子が悪いのか。


その頃の俺は、頑張れば何とかなるだろうと、簡単に考えていて。


むしろ俺が頑張れば何とかなるに違いないと、妙な自信さえ持っていた。


けれど現実はそんなに甘くなくて。


日を追うごとに目の当たりにするばあちゃんの姿。


時には「おじいちゃんのご飯の準備をしなきゃね」と、死んだじいちゃんの帰りを、いまかいまかと待っていたり。


時には「爆弾が落ちてくる」と、戦争の頃を思い出してひどく怯えていたり。


でもたまには調子の良い時だってあったんだ。


それでも昔と比べると、「人様に迷惑かけてまで生きるのは辛いね」、そんな発言をするばあちゃんに、戸惑いを隠せなかった。


「ばあちゃんはまだまだ大丈夫やって」


ばあちゃんに、そして自分にも言い聞かせるように、俺はそう言うしかなかった。


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