拝啓、ばあちゃん【短編】
「もう疲れたわ」


「…何が?」


その理由は分かりきっているくせに、適当な言葉ば思い浮かばなかった俺は、そう尋ねるしかなかった。


俺のその言葉に、おばさんは溜まっていたものを吐き出すように話し出す。


おじさんの手前、今まで誰かに打ち明ける事も出来なかったのだろう。


俺も含めて、おばさん以外の人間は血の繋がりがある。


そんな俺でさえ、時にばあちゃんを責めてしまいそうになるんだ。


止まらないおばさんの愚痴を、俺はただただ黙って聞いていた。


「おもらしした後の処理をどれだけしたって、次の瞬間には財布が無くなったと犯人扱いされるのよ」


いつもの刺々しさもなく、本当に疲れ果てた声でそう呟くおばさん。


俺は何とも言えない気持ちで、床の上を雑巾で拭いていた。


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