拝啓、ばあちゃん【短編】
しばらくして、俺はおもむろにベッドからおりると、汗だくのTシャツを脱ぎ捨てた。


そして裸のまま、もう一度ベッドに突っ伏した。


体に感じる疲労感。


でも眠気は全くなく、頭と心を駆り立てる最悪の事態。


俺は深くタオルケットを被った。


そして手を合わせ、ばあちゃんの無事をひたすら祈った。


神様なんて、信じちゃいないけど…


それでも祈らずにはいられなかったんだ。


空が明るくなり始め、ようやく頭がぼんやりとしてきた頃。


夢か現実かも分からない俺の頭の中に、電話の音が鳴り響いた。


閉じていた目をカッと開く。


隣のリビングから聞こえる、家電のプルルルルという機械音。


俺は慌てて飛び起きた。


部屋の扉を勢い良く開けたと同時に、鳴り止んだ音と、受話器を耳にあてる親父の姿が見えた。


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