拝啓、ばあちゃん【短編】
あれから、俺は目も当てられないくらいに、ますます悪くなっていった。


ばあちゃんの思いを無視し、学校にも行かず、流されるままに毎日を過ごした。


もしもあの日、俺がばあちゃんの側にいたら。


もしも俺が、ばあちゃんの涙の訳を聞いていたら。


あんな事にはならなかったんじゃないか。


そう思うと、逃げる事でしか、そんな気持ちを取り払う事が出来なかったから。


そして、俺はばあちゃんを供養する事もないまま…


この場所から逃げ出した。


ここに居れば、思い出してしまうから。


俺はその思いから逃げ出す為に、悪くなるしかないから。


そして…


今日の今日まで、帰って来る事はなかったんだ。


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