永遠に。
「ヒロ、今日も私達を見守っててね」

私がそう言ってお線香をあげた。
お線香の独特の匂いと煙が私達を包み込む。
ヒロが、そこにいるみたいに。

ヒロというのは病死してしまった私の双子の兄。
小5の時、結核という名の悪魔がヒロを襲った。ヒロは元気そうに振舞っていたが、段々とやせ細っていき、毎日と言って良い程血を吐いて苦しんだ。

「俺の命が永遠だったら俺はきっと皆を守れるのにな」

そう切なく笑ったヒロが最後のヒロだった。

ヒロは私達に遠慮して私達から離れていった。
私達に結核がうつってしまわぬように。

死んだのはそれから間もなくのこと。


それからというもの、忙しい朝の合間を縫って必ず家族でヒロのお線香をあげている。

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