色あせた花
必要
ピーポーピーポー……
私達は救急車に運ばれた。
病院に着き、
私と陵は別々の部屋に移動された。
私は、ただの軽いかすり傷だけだった。
きっと陵が私をかばってくれたんだろう。
だから私は、かすり傷だけで済んだ。
また、ありがとうが増えた。
お願い、助かって――……。
私は祈るしかなかった。
病院の個室で、祈り続けた。
「美花さん。」
看護士さんが個室に入ってきた。
「あのっ、陵は!?」
私は、大きな声を出して言った。
「落ち着いて下さい。
陵さんは今、他の個室で寝ています。
今の段階で出来る治療はしました。
あとは、目が覚めてからではないと……。
あと、いつ目が覚めるか、わかりませんし。」
看護士の言葉に少しだけ、
ほっとした。
「陵がいる個室に行っちゃ……ダメですか?」
今度は落ち着いて言った。
「いいですけど……?
ただのかすり傷だからと言って
無理はしないでくださいね。」
「………はいっ!!!」
私は陵の個室へ行った。