色あせた花
「陵……」
驚きで何て言ったらいいか、
わからない。
「み、……美花…」
涙が、嬉し涙に変わる。
「……どうしましたか!?」
私の声が聞こえたのか
医者が来た。
「あっ。
目がっ覚めたんです!!!!
しゃべっ、たんです!!!!」
焦りすぎて滑舌が悪くなってしまった。
そんな私を見て、医者は
「そんな焦らなくて大丈夫ですよ。」
と、言ってくれた。
「陵さん。
何処か痛い所や
違和感がある所はありますか?」
医者が、陵に問い掛けた。
「……な、い…。」
陵が答えた。
「では、
今、苦しいですか?」
「す、……少し…。」
「…そうですか。」
確かに、陵はさっきから
少し苦しそうだった。
私は少し心配になって、
医者に聞いてみた。
「あ、あの陵は、どうなるのでしょうか……?」
医者はニコッと笑って、
返事をしてくれた。
「苦しいのは、今だけです。
だんだん楽になっていくでしょう。
体の傷はありますが、
それ以外、なんの問題もありません。」
私は、医者の話を聞いて、
力が抜けた様に
イスに座った。
「しかし、こんなに早く目が覚めるとは……。
最悪の場合、一生、目が覚めない事態だって予想していました。
本当に良かった。
彼女さんの想いが
伝わったんですね!!」
医者が爽やかな笑顔で言った。
私も爽やかな笑顔になる。
「それでは。」
医者は、そう言い
部屋を出ていった。