色あせた花
「…………。」
私は呆然と数学の教科書を、眺めていた。
教科書には、
【バカ】
【死ね】
【消えろ】
そして―…
【別れろ】
という文字が書かれていた。
「付き合ってないし……。」
「美花♪どしたの?
ぼーっとして。」
陵が後ろから、にょきっと顔を出してきた。
「やっ。な、なんでもないよー?」
私は慌てて数学の教科書を隠した。
でも、
陵は私の行動を見逃さなかった。
「んー?なんか今、隠したろっ!?」
「な、なんもないからっ!!」
「……嘘だぁ。見せろやぁっ!!」
陵は素早く、私の数学の教科書を奪ってしまった。
「あ……。」
「え……。」
沈黙が続く。
最初に口を開いたのは、陵だった。
「……ごめん。俺のせいだな……。」
陵はそう言って、どこかへ行ってしまった。