アッパー・ランナーズ〜Eternal Beginning〜
「……ってぇ。なんだよ……おかしいだろ!なんで見ず知らずの女にいきなり殺されかけなきゃなんねぇんだよ」
独り言で叫びたくなるほど、あの一蹴りで既に満身創痍、言うに及ばずずたぼろである。
助けを求めようにも、時折怒れる暴君のような強風が吹くこともあって、この場所は本来立ち入り禁止の危険区域なのだ。
人影などあるはずがない。
下の鉄橋で偶然助かったものの、そこから更に落ちれば間違いなくあの世行きだろう。
自分の、頭蓋は砕け、手足は操り人形のようにねじ曲がり、内臓は好きなだけ潰れて見せ物小屋の魔術師の鳩よろしく飛び出す絵を思い描いてぞっとする。
冗談じゃない。ぼくが死ぬときは世界が終わる時か、山のように積まれた甘味に埋まって死ぬ時かって決めてるんだ!
「あら、意外と悪運は強いみたいね」
そう言いながらひらりと。人を閻魔の御前に蹴り飛ばさんとした張本人は、器用に剥き出した鉄骨を伝って降りてきた。
狭い足場も何のその、これだけ高いのにまるで動じていない。
まるで風と戯れる柳のように、しなやかな足取りで一方づつこちらへと近づいてくる。
終曲。終幕。ジ・エンド。とどのつまり、このままじゃ確実にお陀仏だ。
それこそ空でも飛べない限り、ぼくはこの女にいとも容易く仕留められる事だろう。
うぅ、もっと美味いものを腹一杯喰ってればよかった……と思うのは貧乏人の性か。
まぁ無論、まだ死にたくはないし、死ぬつもりもない。
「けほ、しかし……」
後ろも横も逃げ場はないし、上の鉄橋にはそう簡単に登れない。
唯一の逃げ道である正面の採掘場へと繋がるトンネルの前には、おでこ……もとい百花繚 乱(読めないけど)なる人物が、須弥壇を守る仁王よろしく不敵に立ちはだかっている。
「正に八方絶命、絶体霧中、五里塞がりか」
「……」
ぼくは痛む脇腹を抑えながら異邦語の諺をゆっくり近づいてくる女に吐き捨てて向き合った。
人間、意外と予想外の命の危機に瀕すると冷静になれるらしかった。
一瞬悲しそうな顔をされたのは、まぁ気のせいだろう。
独り言で叫びたくなるほど、あの一蹴りで既に満身創痍、言うに及ばずずたぼろである。
助けを求めようにも、時折怒れる暴君のような強風が吹くこともあって、この場所は本来立ち入り禁止の危険区域なのだ。
人影などあるはずがない。
下の鉄橋で偶然助かったものの、そこから更に落ちれば間違いなくあの世行きだろう。
自分の、頭蓋は砕け、手足は操り人形のようにねじ曲がり、内臓は好きなだけ潰れて見せ物小屋の魔術師の鳩よろしく飛び出す絵を思い描いてぞっとする。
冗談じゃない。ぼくが死ぬときは世界が終わる時か、山のように積まれた甘味に埋まって死ぬ時かって決めてるんだ!
「あら、意外と悪運は強いみたいね」
そう言いながらひらりと。人を閻魔の御前に蹴り飛ばさんとした張本人は、器用に剥き出した鉄骨を伝って降りてきた。
狭い足場も何のその、これだけ高いのにまるで動じていない。
まるで風と戯れる柳のように、しなやかな足取りで一方づつこちらへと近づいてくる。
終曲。終幕。ジ・エンド。とどのつまり、このままじゃ確実にお陀仏だ。
それこそ空でも飛べない限り、ぼくはこの女にいとも容易く仕留められる事だろう。
うぅ、もっと美味いものを腹一杯喰ってればよかった……と思うのは貧乏人の性か。
まぁ無論、まだ死にたくはないし、死ぬつもりもない。
「けほ、しかし……」
後ろも横も逃げ場はないし、上の鉄橋にはそう簡単に登れない。
唯一の逃げ道である正面の採掘場へと繋がるトンネルの前には、おでこ……もとい百花繚 乱(読めないけど)なる人物が、須弥壇を守る仁王よろしく不敵に立ちはだかっている。
「正に八方絶命、絶体霧中、五里塞がりか」
「……」
ぼくは痛む脇腹を抑えながら異邦語の諺をゆっくり近づいてくる女に吐き捨てて向き合った。
人間、意外と予想外の命の危機に瀕すると冷静になれるらしかった。
一瞬悲しそうな顔をされたのは、まぁ気のせいだろう。