アッパー・ランナーズ〜Eternal Beginning〜
突然の、グッと上方向に引っ張られる感覚に、胃の内容物が逆流しかける。
それが落下するスピードが緩んだ際の衝撃だと気づいたのは、あのおでこ女とぴったりくっついて顔を見合わせた時だった。
「……は?」
バサリバサリと羽音をたて、力強く羽ばたく一対の翼。
どこからどう見ても飾り物には見えないそれは、上に伸ばした僕の右手の甲から生えていた。
それにぶら下がる格好で僕はおでこ女を抱き留めていた。
無意識のうちに、引っかかっていたチェーンから外れた彼女を掴んでいたようだ。というか抱き締める格好になってしまっているが……。
女性の体の柔らかな膨らみに意識を落としそうになるより、今の僕には驚きの方が上回っていた。
それは彼女も同じらしく、一度顔を見合わせた後、共に突然出現した琥珀色の翼に目を奪われたようだ。
「なっ、なによあれ」
先に我に返ったおでこ女が驚愕に見開いた目で翼を見ながら、僕に問いかける。
「あんた……歩む者(ウォーカー)じゃなかったの!?」
「……そのはず……だけど」
それは僕が知りたい。
まだ死にたくないと思った。何か得体の知れない力に手を伸ばした。その結果が……翼だぁ!?
「有り得ない!ウォーカーに翼だなんて!一体どうなって……」
おでこ女が何やらぶつぶつ呟いているが、しかしいくら疑ったところで、この勝手にバサバサやってる翼に助けられた事に変わりはないんだし。
そもそもお前が突き落とした結果だろうに。
「ひっ」
怨めしげに視線を落とすと、突然鶏の首を絞めたような声を出して彼女は固まった。
それが落下するスピードが緩んだ際の衝撃だと気づいたのは、あのおでこ女とぴったりくっついて顔を見合わせた時だった。
「……は?」
バサリバサリと羽音をたて、力強く羽ばたく一対の翼。
どこからどう見ても飾り物には見えないそれは、上に伸ばした僕の右手の甲から生えていた。
それにぶら下がる格好で僕はおでこ女を抱き留めていた。
無意識のうちに、引っかかっていたチェーンから外れた彼女を掴んでいたようだ。というか抱き締める格好になってしまっているが……。
女性の体の柔らかな膨らみに意識を落としそうになるより、今の僕には驚きの方が上回っていた。
それは彼女も同じらしく、一度顔を見合わせた後、共に突然出現した琥珀色の翼に目を奪われたようだ。
「なっ、なによあれ」
先に我に返ったおでこ女が驚愕に見開いた目で翼を見ながら、僕に問いかける。
「あんた……歩む者(ウォーカー)じゃなかったの!?」
「……そのはず……だけど」
それは僕が知りたい。
まだ死にたくないと思った。何か得体の知れない力に手を伸ばした。その結果が……翼だぁ!?
「有り得ない!ウォーカーに翼だなんて!一体どうなって……」
おでこ女が何やらぶつぶつ呟いているが、しかしいくら疑ったところで、この勝手にバサバサやってる翼に助けられた事に変わりはないんだし。
そもそもお前が突き落とした結果だろうに。
「ひっ」
怨めしげに視線を落とすと、突然鶏の首を絞めたような声を出して彼女は固まった。