やさしい神の作りかた
出没時間はちょうど今ごろだ。


葉っぱが茂っているせいで辺りはどんよりと暗い。


そんなヨタ話、信じちゃいないが正直薄気味悪い。


ダッシュで駆け抜けていると、

行く先に…



髪のながーい女の後ろ姿が見えた。


「んげっ」


俺、慌てて急ブレーキ。

木の陰に隠れて様子を伺う。

女はしゃがんでいるようだ。

しかも何かブツブツ言っている。

俺、ピーンチ!

どうするどうする?

舌を出されたらどうする?

そうだ、何か代わりのモノに巻き付かせれば…

カバン、カバンがあるじゃないか!

…まて、この中にはさっき取りに行った本が…

本を取り出し、背中側のズボンに突っ込んだ。




俺は覚悟を決めて、勇者の様に立ち上がった。



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