やさしい神の作りかた
どうにか気持ちを落ち着かせようとしながら、なんとか質問する。


「あの…、教団ひとりって?」

「え?…秘密」


先ほどとはうって変わり真顔で答える。


「は?秘密って、そこまで言っておいて…ありえないだろ!」


さすがに俺もカチンとくる。


「だって、規則だから」

「規則ぅ?」


片眉をつり上げて聞き返す俺。なにせ規則とか強制なんて言われると、無性にイラっとする年頃だからしょうがない。


なつきは一歩、ずい、と前に出て俺の顔を覗き込む。


顔ちかっ


「し、り、た、い?」


俺は言うしかなかった。


「ああ」


「ふふっ、じゃあ山吹文庫に行ってみる事ね」


そう言うと、なつきはくるり、と回れ右をして歩き出した。


< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop