(話術師外伝)『嘘つきウサギ』
キララ:「せっかくのネットゲームの中なんだし、モンスターと戦うばかりじゃなくて、たまには『おしゃべり』も楽しんだらどうだろうって思ったの。こんな世界でまで、一人で『こもる』必要はないんじゃないんかな?」
あぁ・・・・・・そっか・・・そういうことか・・・。
私は、ようやく彼女が言いたいことを理解した。
・・・彼女は私に気を使ってくれたのだ。
おなじ「引きこもり」仲間として、無理をせずゆっくりと社会復帰を促そうということか・・・。
それとも、せっかく見つけた「同胞」を手放したくない・・・というささやきか・・・。
まぁ・・・どちらにしても・・・嬉しいことには変わりないか・・・。
うさ美:「ありがとう、キララ。私は大丈夫、無理なんてしてないよ。そこまで気を使ってもらうことなんてない。」
私は、精一杯のお礼の言葉を述べた。
疑いの目を緩めるわけではない。
こんな言葉で相手を信用するわけではない。
だけど・・・・・・・・もしかしたら、たった一人で敵の土俵に入ってしまった私にしてみれば、この言葉が聞けただけでも、十分な安らぎを与えるものだった。