†逝き先采配者†
「此処って…刑務所…?」
青羽は呟いた。
「そう、貴女の初仕事は、貴女を刺した犯人、早坂黄太郎(hayasaka koutarou)。
現行犯で捕まったからもう獄中にいます。
そして今からいきます」
そう言うと入口の扉をスルリと通過した。
「な!!?」
青羽が驚くのも無理は無い。
まるでそこになにも障害物が無いかの様に、紅卯月はそれを通過し中へと消えたのだから。
驚いていたら再びそこから紅卯月が顔を出した。
「何をしているのです、早くこちらへ」
訳も分からずとにかく青羽も意を決して入口の壁へと進み手を伸ばした。
するとなんの衝撃も無く、ドアに触れることもなくその手は通過した。
そのまま体も進むと、難無く中に入ることが出来た。
「………どういう事…?」
またも不可解な状況に頭を悩ませていると
紅卯月が話始めた。
「河月青羽、行きますよ。」
二人は館内を歩き始めた。
「私たちは今人間ではありません。即ち物体も衝撃も無効化させることが出来るのです。
…まあ…幽体離脱のようなものと思って頂ければ結構です。
従って人間には私たちの姿は見えませんし、声も聞こえません。
あ、物体を無効化と言いましたが、じゃあ何故館内を歩けているのだと言う話になりますよね。
実際は全てを無効化にすることが出来るのです。
しかしやはりそれだと色々と不便が起きてしまい…今は横の無効化に制限してあるのです」
紅卯月は歩きながら説明した。