†逝き先采配者†
が、次の瞬間、
閉じた瞼に強い光を感じ起き上がる。
するとそこは辺り一面真っ暗闇。
目の前には白い光に照らされ、少女が一人立って居た。
腰まで長い紅い髪。
切り揃えられた前髪。
白い肌に、見透かすような紅い瞳。
服は…袴に近いだろうか。しかしどこか独特なものを着ている。
少女は口を開いた。
「河月青羽、貴女は今、死に際にいます。」
何を言って居るのだこの少女は。
「貴女は先程、見知らずの男に胸部をナイフで刺され、倒れました。そしてこの後死にます。」
……そうだ、僕は確か街でケーキを買って、悲鳴の方を振り返ったら女の人が血を流して倒れて居て…
そして僕は…刺されたんだ!
と言う事は…此処は所謂`三途の川'と言う場所なのか?
花畑や死んだお祖父さんなどどこにも見当たらないが………
するとまた少女が口を開いた。
「河月青羽、貴女に選択肢を設けましょう。生きるか死ぬか、決めなさい。」
生きるか…死ぬか…
どういう事?
そりゃあ生きたいに決まっている!
あんな見知らずの男に刺されて死ぬなど、死んでも死に切れない!
それに、今日は妹の誕生日。ケーキも買った。
喜ぶ顔がみたい。