ワケありSMごっこ

「早くしてよ。湊から世莉奈へのおはようの挨拶」


「・・・・・・・・・・・・」


世莉奈のいうおはようの挨拶ってヤツが俺は苦手だ。


視線を伏せて黙り込んだ俺に必ず焦れた世莉奈はこう言って挨拶を強請る。


「してくれなきゃ学校に行かない」


家を空けがちな宮路家の当主、つまりは世莉奈の親であり俺っていうか寒川家が仕えてる人に代わって世莉奈の面倒を任されてる俺としては、コイツにへそを曲げられるのが一番困るワケで。


それをもちろん承知でこんな風に強要してくる世莉奈は、何でも自分の思い通りじゃないと気が済まない生粋のお嬢様気質だと思う。

つまりは性格が悪い。


渋る俺にフイッと顔を背けて拗ねる世莉奈が当主にチクらないうちに手を打たないと・・。


そう思うたびに心の中にイラッとしたものが蓄積していく感覚・・・・・・。
一生コイツにはわからないんだろうな。


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