ワケありSMごっこ
「・・・・・・何、話してたの?」
「話す?」
「教室で」
突然切り出された数時間前の話に、ピンクパールのペディキュアで飾られた指を舐めるのを止める。
自分の身の丈ほどもあるクッションに半裸の体を預け、じわじわと足先から上り詰めてくる快楽に惚けた顔がじっと俺を見下ろしていた。
コイツの無神経さに思わずムッとする。
こんなことをさせられてる真っ最中に穏やかな笑顔を思い出させるな。
・・・・・・ますます自分って存在とおまえって存在が嫌になるから。
「何でも無い」
突っぱねるように言い放ち、またペディキュアを舌先に絡める。
「ぁッ・・・・・・」
それに応えるようにぴくんと世莉奈の腰が浮く。
俺の中で一番無意味で嫌いな夜伽の時間。
世莉奈の快楽と美容を満たす為にひたすら全身を愛撫させられるっていう、俺の中の焦燥感が一気に膨れ上がる時間だ。