暗い森
赤
一人の女がいる。若くて美しい。雑踏を何かしら目的を持って黙々と歩いているようだ。かなりの早足で歩いている。その早足を惜しむかのように男たちは彼女を視線で追う。だが、その顔よりも夕陽のように赤く燃える髪に目を捕われてしまう。
彼女の名は陽麗。年齢は十七歳だ。陽麗という名は父が付けてくれたものだが、その父は本当の父ではない。自分は二歳の頃に、この臨錙(りんし)の町に連れてこられたのだ。言わば、本当の両親に捨てられたのだ。臨錙の町は北に錙水(しすい)という川が流れているが、その川を船で下ってこの町に来たという記憶だけはある。
今は商人である義父の使いの帰りだ。
彼女の名は陽麗。年齢は十七歳だ。陽麗という名は父が付けてくれたものだが、その父は本当の父ではない。自分は二歳の頃に、この臨錙(りんし)の町に連れてこられたのだ。言わば、本当の両親に捨てられたのだ。臨錙の町は北に錙水(しすい)という川が流れているが、その川を船で下ってこの町に来たという記憶だけはある。
今は商人である義父の使いの帰りだ。