暗い森
田忌という貴族の屋敷に使いに出ていたのだが、その屋敷の切り盛りをしている灰謄(かいとう)と言う老人がその貴族の妾を探しているらしく、自分を値踏みしてくるような視線が重い。なので、その貴族の屋敷に行くときはできるだけ用件をさっさと済ましてくるのだ。貴族であろうが、君主であろうが二番目を以降の存在なんて嫌なのだ。
その点、今の義父、義母は子供がいないせいか一番に可愛がってくれる。
一生、嫁になんて行かなくてもいいかなと思っているが、義理の両親は下級貴族にでも嫁いでほしいようだ。二人が実際に話している所も聞いた。自分の幸せを考えてのことだから嬉しいが、好きな二人と別れると思うと淋しくなる。
「只今もどりました」

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