君に幸せあれ!
さすがの私も少し怖くなった。

そんな大北になんて声をかけてやったらいいのか、まったくわからなかった。

「音声ガイダンス相手に、ペチャクチャ話せる女の子にかける言葉」
の引き出しを、私は持ち合わせていなかった。


しかし、いやな沈黙が流れるこの空気をなんとか変えたい。

私は、精一杯優しい口調で、
「大北、これは音声ガイダンスと言ってね。相手は人ではなく機械なのだよ。こんなのを友達と呼ぶんじゃない。本当の友達が目の前にいるじゃないか。」
と言った。


大北は笑いながら、
「いや、サチカがどういう反応するかと思ってサ。アハハ。」
とほざきやがった。



あの時の大北へ。


そのごまかし方、ごまかせていませんよ。
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