鋼の心









「怪我は…ないか?」

と、尋ねて来るルシウスの顔は…
酷く、痛々しいほど寂しげ。


そっと頬を撫でられても…
もう、恐怖心は無かった。


「すまない…。」

そうルシュアが声を発する前に…
また引き寄せられ、腕の中に収まる。


頭の中が騒ぎ出して…何も考えられない。


「もっと…早く気付けばよかった。
我の失態だ。お前を危険に晒したのは…。」

と、そう何度も謝罪の言葉を
述べるルシウス…。




ふと……






『すまない、ディアナ…』







……アルバートの事を思い出してしまった。











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