鋼の心









止め処なく溢れる涙…
それを止めるすべなど、
ルシュアには分らなかった。


「アル…っ…。アル!!」

眠っているルシウスに
そう抱きつくと…
魘されていたルシウスが
静かになったのが分った。


「…ル…シュア…?」

瞼を開いたルシウスは
目を見開いてそう言った。


涙を流すルシュアに……
酷く憎しみが湧く。


「誰に…泣かされた?」

そう低い声で言うルシウスの声は
やはり苦しそうだ。









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