鋼の心








カツカツと鳴り響くのは
ルシュアの履いたヒールの音。


そして…
ルシュアを呼ぶルシウスの声…。


ある部屋に入り込んだルシュアが…
涙を流していた事に…
ルシウスは気付いていないだろう。


ルシウスが大事にしていた
拳銃を取ったのは…
自分への思いが消えるように…。


ルシウスを撃ったのは…
私への思いを断ち切れるように。


顔も見たくないというのは…
自分の思っている事の裏返しの言葉。


外で聞こえる自分を呼ぶ声が…
小さくなっていくと、同時に…
ルシュアの涙も量を増した。









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