鋼の心
「良いな。ルシュア。」
そう呼ばれて…
…ルシュアは…自分の名が…
汚らわしいように感じた。
名を呼ばれる事が…
汚らわしいと…。
「つつ!!」
やっと解放された痛みに
目を開く…。
解かれたロープの痕は
くっきりと痣になり…
紫色に朽ちて血が滲んでいた。
「それから、
この建物から外へ出る事は許さぬ。」
そう背を向けた彼に
飛び掛りたい気持ちを押さえて、
ルシュアはエレベータの方に向かっていた。