鋼の心








「表向きにはルシウス様の女。
けれど、本当は…篭に入れられた
蝶のようなものよ。
何不自由なく生きていけれるけれど。
蝶はそれを望んでなんかいない。
外へ飛び立つ為には…
死ぬしか方法は無い。」

そうでしょう?と、ルシュアは
無表情のまま答える。


「私は踊り子。
望んでいるのは復讐だけ。
卑しい身分の私が、
死を恐れる必要もないわ。」

そう奥義を腰に仕舞い、
ルシュアはダリムを一心に見た。


「人間いつかは死ぬものだもの。
辱めを受ける前に…。
プライドを守る為に死ぬの。」

にっこりと笑った彼女に…
ダリムの心境は複雑だった。









< 50 / 222 >

この作品をシェア

pagetop