鋼の心
「キャッシュ。ダリムに事を伝えておけ。
それから…我が良いと言うまで、
最上階には足を運ぶな。」
酷く低い声で言ったルシウス。
ルシュアの体はさらに震えを増した。
「御意のままに。」
そう返事をするオレンジ頭の男。
キャッシュと呼ばれた
オレンジ頭の男は…あの会場で
無表情だったあの男だった。
と、その時。
手首に鈍い痛みが走り…
ルシウスが至近距離にいた。
手首を掴まれたのだと
理解するのに数分掛かった。
何が何だか分からない…。
ぐいぐいと手を引かれ、
エレベーターに入れさせられた。