三国志疾風録
 「あああああ! 俺の獲物が! この槍野郎、変な命令するから一匹やりそこねたじゃねえか!」

 張飛は周りの賊を瞬殺すると、リーダー格の男との距離を一気につめた。

 「オラ突いてこいよ槍野郎。俺の受け入れ体勢は万全だからよヒヒヒ。早く、早くこいよぉ。男なら突いてこい! 心配すんな、三回は突かしてやるからって。三擦り半でテメエは昇天だヒャッハー!」

 リーダー格の賊は暫時躊躇したが、必殺の構えで足場を馴らした。

 「この距離で避けれると思ってるのか。生け捕りはやめだ。死ね!」

 賊は槍を張飛に届かすどころか突く動作に入った瞬間に腕を斬り落とされた。

 それも立て続けに二本。

 「うぎゃああぁあぁぁあ!! てめええぇえ!!」

 「アハハハハ! クククアハハハハ! あれぐらい避けろ避けろ単なる準備体操だろ何で避けないんだ死ぬのか死ぬつもりか、んんん? 返事しろよつまらないだろ! なんだ死んだのかやりたりねーやりたりねーよ!」

 張飛が次の獲物を求めると、目があった者が脱兎の如く逃げ出し、それを追うように全員が逃げ始めた。

 「こら逃がすか! 殺す殺す逃げたら殺す! 捕まえて殺す! 全員殺す!」
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