三国志疾風録
 「ぬおおぉぉおおぉおお!!」

 関羽が悲痛な叫びを上げた。

 「周倉おおぉぉおおぉおお!」

 背後に迫る殺気に反応し、考えるよりも先に体が動いていた。

 思考が動作に追いついた時には、青龍刀が周倉の首を胴から斬り離していた。

 「死ぬなああぁぁあああぁああ!! かすり傷だ! 漢なら死なぬはずだ!」

 関羽は周倉の首を胴に押し付けた。

 「完全に生命活動を停止してます」

 「おぬしが変なテンションで大声出したからだぞ! いや違う。他人のせいにするな雲長! 漢は責任逃れはせぬ!」

 「ふふん、つまり私は命の恩人ですねー。恩を売って何を買ってもらおうかな~」

 「接着剤だ!」

 「嫌ですよー。そんなの要りませーん」

 「ポンコツが! 早く接着剤を出せ! 今なら間に合うかかも知れぬ!」

 「人間は人形じゃありませんよ」

 簡擁の言う事など聞くに値しないとばかりに周倉の首を何度も胴に押し付けては、引っ付いてないか確認する為に首を持ち上げたりを繰り返した。
 
 そこに張飛が帰ってきて硬直した。

 この場面だけを見れば、関羽が素手で周倉の首を引き抜いてると思うだろう。
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