三国志疾風録
 「HP-5000ぐらい逝ってるだろ。これで生きてたら化物だぜ」

 「化物ではなく漢だ。真の漢なら這い上がってこい!」

 関羽は周倉の亡骸を抱え上げると、谷底へと投げ捨てた。

 夜の静寂に鈍く嫌な音が響いて消えていった。

 簡擁はふわわわと怯えたような声を上げたが、張飛は谷に一瞥くれただけだった。

 「漢ならば這い上がってこよう。そうでなければそのまま逃げだすであろう。一時間だけ待つ」

 「ちっ、気持ちの整理つけんのに一時間もかかんのかよ。寝る」

 張飛は朝まで寝るつもりで横になった。
塩を奪った若者も休息をとっているはずだ。
朝から追いかければ直に見つかるはずだと思案しながら、眠りに落ちてかけたところ、関羽の怒声で引きずり上げられた。
 
 「周倉! やはりお主這い上がってきたか!」
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