ドリームビリーヴァー
けれど……沙希だけは違った。
あいつだけは、自分の可能性とか、存在意義とかを真剣に、前向きに、考えていた。自分が世界を形成する大事なピースだってことを理解していた。葉山から、世界に向けてできることを、至ってまじめに考えていたんだ。きっと、僕なんかとは違って、葉山の街から出ようと思ったことなんて一度だってなかったに違いない。
そういえば、沙希のやつがいっていた。
たしか、八月にあった高校の夏祭りの時だ。
中学を卒業して、高校生になり、初めての長期休暇。一年生徒全員強制参加の美里高校の夏祭り。ほんの数ヶ月前には受験の結果に、数週間前には期末テストの結果に、一喜一憂した美里高新入生の閉鎖的な夏祭り。
でも、その夏祭りこそが美里高校の売りであり、唯一といっていいほどの娯楽行事だった。じゃなかったら、僕みたいなひねくれた高校生は、たとえ強制参加だったとしても参加するわけがなかった。
あいつだけは、自分の可能性とか、存在意義とかを真剣に、前向きに、考えていた。自分が世界を形成する大事なピースだってことを理解していた。葉山から、世界に向けてできることを、至ってまじめに考えていたんだ。きっと、僕なんかとは違って、葉山の街から出ようと思ったことなんて一度だってなかったに違いない。
そういえば、沙希のやつがいっていた。
たしか、八月にあった高校の夏祭りの時だ。
中学を卒業して、高校生になり、初めての長期休暇。一年生徒全員強制参加の美里高校の夏祭り。ほんの数ヶ月前には受験の結果に、数週間前には期末テストの結果に、一喜一憂した美里高新入生の閉鎖的な夏祭り。
でも、その夏祭りこそが美里高校の売りであり、唯一といっていいほどの娯楽行事だった。じゃなかったら、僕みたいなひねくれた高校生は、たとえ強制参加だったとしても参加するわけがなかった。