ドリームビリーヴァー
一日中、朝から晩までやっていた美里高校納涼祭。

その実態は、納涼なんてものとはほど遠い灼熱地獄。

何で夏休みの、しかもこんな暑い日に僕らは模擬店なんてくだらないものを開いていたんだろう。きっと大半の生徒はそう思っていたはずだ。

実際、圭介のやつは午前の早い段階で、得意の仮病を使って帰っていたぐらいだ。

でも、これはある意味ですごく儀式的で、ある意味で必要悪だった。たしかに、面倒だし、くだらない祭りではあった。

けれど、それは同時に、交流の場でもあったわけだ。

美里高校では文化祭は存在しなかったし、修学旅行は二年の冬だ。

だから、見る人が見れば、これほど貴重な行事はなかったに違いない。実際に、中にはもの凄く張りきっている生徒もいたわけだし。

あくまで、少数だったけど。
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