ドリームビリーヴァー
沙希には実際にそういうところがあった。

僕と圭介と麻里が「人間の意識の定着」を話し合っている時も、

「別に不思議ないじゃん。生きてるんだし」

なんて意味のわからないことをさらりといってくれた。まあ、それも間違ってはいないけど。

ただ、沙希の場合は「神様」なんて単語は禁句だった。家の都合上、そんなことはお釈迦様がキリスト様と手をつないで歩いている風景を目撃しないかぎり、いえっこなかったんだ。

沙希はもちろん人間付き合いをしていないわけがない。

むしろ、僕なんかよりずっと高校生らしい付き合いをしていた。

性格もいい。成績も美里高の中では十分トップクラス。

それになにより、大都会の、例えば東京のセンター街なんかを歩いていたら、きっとひっきりなしにナンパやスカウトが来るんじゃないかというくらいかわいい。

どの部分がかわいいとか、どの部分がかわいくないとか、そんなんじゃない。全体的に、客観的に、かわいい。

僕の母さんなんかは「きっとアイドルにでもなったら人気でるわよ」なんて自分の子供のことでもないくせに、大喜びでいっていた。

つまり、地方の高校生が食い付く要素なんかは腐るほど持っていたわけだ。
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