恋をしてみたい
最初で最後
「じゃぁ…行ってきます。」
「行ってらっしゃい。アッ,そうそう…携帯電話。渡しとくわね。」
「ありがとうございます。」
――――――――
駅に着いてから…10分…。
真夏の真昼に…外で10分も待つことは…辛い…。
そんな事を思っていたら…
「リオ!!ごめんね…道がすっごく混んでて…。」
「ううん,大丈夫。それよりも…いいの??私が一緒にお邪魔しちゃって…。」
「いいに決まってるでしょ?!良くなかったら,初めから誘わないから。」
嬉しかった…。
自分から友達を作ろうとしなかった私だから…
当然誰もお泊りなんかに誘ってはくれない。
お泊りどころか…遊びに行く約束なんて…ありえない。
…いや…。
何度かはあった。
ただ…
「桜庭さんっ…今度の日曜,文化祭の打ち上げで…集まろうとおもうの。詳細は後日知らせるから…来てね!!」
「うん…分かった。」
とか…こんな約束をしても…【後日の詳細】なんて…そんな知らせは一度も来なかった…。
実は…真奈とも遊んだことは無い…。
放課後…一緒に話すことはあっても…遊んだりしたことはなかった。
「リオ?何か顔色悪いけど??大丈夫??」
「そう??」
「…暑い中待たせちゃったもんね…。のど乾いたでしょ??はい,これ。」
「ありがとう。」
真奈は私に麦茶をくれた…。