【短編】俺たちの夏
そして、地区予選の決勝戦。


さすがの俺もかなり緊張している。チームのみんなも緊張しているようで顔が強ばっていた。
そんな中、諒はみんなの緊張をほぐそうといつものテンションでいた。そういうところは正直、尊敬してしまう。



決勝戦の相手は、昨年、甲子園に出場し準決勝まで進んだチームだ。





試合は延長園まで持ち込み、11回の表で相手の攻撃だ。2アウトで2塁にランナーが出ている。点数は4-6で負けている。
ここで次のバッターを抑えないと相当ヤバイ。

俺は内心、焦っていた。
そのとき諒がタイムを取り、こっちへ向かってきた。

「ヤバイな。」と、俺が聞くと諒は笑顔で言った。

「大丈夫だ。チームのみんなを信じろ。弱音を吐くなんてお前らしくないだろ。俺のミットだけをめがけて投げろ。余計なことは考えるな。」


この言葉が、俺にとっては結構支えになった。


俺は諒のミットだけをめがけて思いっきり投げた。



―――カキーン

打たれた。

ボールは高く飛びライトのグローブに収まった。
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