【短編】俺たちの夏
その日は、監督のおごりで焼き肉を食べた。
もちろん食べ放題だが。


「拓也、やったな♪」

諒が声を掛けてきた。

「あぁ、これで念願の甲子園出場だな。」

「おい、拓也。もしかしてこれで終わりってことは、ねぇよな?」


諒が真剣な顔で言ってくるので俺は「あぁ。」とだけ答えた。

これで終わりとは思っていない。出るからには、優勝を狙わなければ面白くない。

そんなことを思っていると、諒がいきなり肩に腕を回してきた。


「目指せ優勝!!」


諒が大きい声で言うものだから、チームのみんながこちらを向いて固まってしまった。
そんなみんなを見ながら、諒がまた口を開いた。

「だろ?」

その言葉を聞いた瞬間、チームのみんなが「当たり前だ!」「そうだな。」など口々に言い出した。



俺はなんだか、甲子園が楽しみになった。
まだ戦ったことの無い奴らと戦える。考えただけでドキドキしてくる。



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