灰色の虹
「おかえり。次はいつ向こうへ行くの?」
自分で入れたブラックコーヒーを口にしながら尋ねる。
父は昔から変わらない無邪気な笑顔で「3年後!」…そう答えた。
私は口に近づけていた手を止めて父を見る。
これまでに1ヶ月と家に居た試しがない父の発言はさすがに驚きを隠せなかった。
「朝から何の冗談よ…時差ぼけ?」
あり得ないと言うように鼻で笑うと父は言葉を並べていった。
「いや、しばらくツアーには参加しない。今年は若いプロゴルファーの育成に力を貸して欲しいと言われてね…」
と言ってさらに続ける。
「それにママやユメ達との時間も大切にして行きたいんだよ!」