月と太陽の事件簿4/卒業までに解く問題
「なんでだ」

「もしかしたらヒントになるかもしれないじゃん」

そもそもなぜそんな暗号作った?のと訊く。

「暗号を作ったのはロシア王朝の王女でな。自分の遺産を孫へ遺そうとしたんだが、ただ遺したんじゃ孫のためにならないと考えた」

「ふんふん?」

「そこで試練を与えるという意味で、難解な暗号を解かせることにしたのさ」

「うーん。ロシアの王女様の遺産がらみじゃ、この手紙とはかぶらないね」

「そりゃそうだ」

「ロシア王朝と学校の下駄箱じゃ、どう考えたってつながらないもん」

「学校の下駄箱か…」

達郎兄ちゃんの唇がまた尖った。

「カホ、学校というと別の数字が思い浮かばないか」

「別の数字?」

あたしはしばらく考えこんだが、ふとあるものが浮かんだ。

「それってもしかして出席番号?」

達郎兄ちゃんはうなずいた。

出席番号か…それはアリかも。

あたしはクラス名簿を引っぱり出すと、机の上に広げた。

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