紺色の海、緋色の空
そうなのか?

本当に草なのだろうか?

僕は自問した。

僕は本当にすべてを知り、すべてを理解しているのだろうか?

考えるまでもない。

答えは否だ。

僕は早紀のことすら分かってあげることができなかった。

人の能力には限界がある。

他人の気持ちを完全に理解することなどできやしない。

それどころか、僕には僕自身を制御することすらできないでいるのだから。

記憶だって怪しいものだ。

僕のコンパスは壊れている。針がグルグルと回っている。

僕は壊れている。

壊れた記憶の断片に、いったいどれだけの信憑性があるというのか。

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